セカンドオピニオン

現在の治療法や方針に疑問を感じ、その結果別の人間の意見を聞くことをセカンドオピニオンといいます。
主治医の前でセカンドオピニオンを切り出すことは、飼い主様にとって心苦しいことかもしれません。
しかし本来セカンドオピニオンは幅広い意見を聞き、その結果治療に反映させることができるという点から、飼い主・主治医・そして動物にとって非常に有用なものであるはずで、人医界では一般的に行われていることです。
当院ではセカンドオピニオンに関しての相談料は頂きません。
新たな治療の選択肢としてお考え頂けたらと思います。


ケース1

3才、マルチーズ、雌。現在妊娠55日目(推定)。
胎児(2頭)が大きく、来週レントゲン検査確認の上で帝王切開を勧められたとのこと。
本当に帝王切開の必要があるのかセカンドオピニオンを希望。
当院でレントゲンおよび超音波検査を実施。
母体の骨盤形態、胎児の発育状態、過去の既往歴など総合的に判断し現時点で帝王切開を示唆する根拠は薄いと判断。
また出産時の搬出不足などがあった場合は、夜間であれ緊急に対応する旨を伝え、自宅にて自然出産を第一に選択することとした。
5日後に2頭とも無事出産。特別な介助も必要なく安産であった。


犬は特殊な犬種を除き、自然出産しやすい動物です。
また出産時の母体の骨盤拡張は我々の想像以上です。
無論、難産が示唆された場合の帝王切開への移行は速やかでなくてはなりませんが、事前に帝王切開を予定するのは特殊なケースといえます。


ケース2

2才、M.ダックスフント、避妊雌。
1か月前からぐったりして、よびかけにも反応しなくなった。
近医にて熱中症または心臓の疾患との診断。
その後心臓専門医を受診したが、心臓の異常はないといわれ現在までサプリメントの服用のみで経過観察。
飼い主様の希望によりセカンドオピニオンを希望。
初診時に発熱(39.9℃)と経度脱水を確認。
当院での全身検査によりCRPの上昇(>7.0㎎/dl)および関節液の性状異常(無菌性の変性好中球散見)、および他疾患の除外から免疫介在性関節炎と診断。
飼い主様と相談の上、免疫抑制治療を開始。
内服直後より行動の活発化がみられた。内服2週間後にはCRPは正常値に復しており、薬剤による副作用も認められていない。


M.ダックスフントは免疫機構障害の多い犬種といえます。この関節炎も非常に多い疾患ですが、診断のためにはしっかりとした全身検査の上、他疾患を除外する必要があります。飼い主様のご理解が得られたため、しっかりとした全身検査を実施させて頂き、診断することができました。


ケース3

3才、マルチーズ、雌。
若いのに活動性がなく、あまり動かない。
お腹が膨れていて、皮膚のいたるところに色素沈着がある。
他院で血液検査を実施したが異常はないといわれた。
四肢端に舐性変色があり、下腹部には点状の色素沈着がみられた。
両側MPL(G2)あり。
当院での血液検査から軽度の非再生性貧血が認められた。
またレントゲン検査および全身の超音波検査において明瞭な異常は認められなかった。
飼い主様に内分泌疾患の可能性が高い旨を話し、ACTH刺激試験および甲状腺ホルモンの測定を実施した。
その結果T4低値(<0.5μg/dL)、c-TSH高値(1.42ng/mL)がみられた。他疾患の除外およびホルモン検査の結果から若齢性の甲状腺機能低下症と診断。
また皮膚の痒みに関しては原因疾患に付随した膿皮症と診断した。
飼い主様に報告し、同日よりホルモン補充および抗生物質による治療を開始。
内服開始して2週間経過しているが、活動性が随分増し、同居犬と比べ遜色なくなったとのこと。
また皮膚の痒みも軽減しているとのこと。


犬の甲状腺機能低下症は一般的な病気ですが、多くは中高齢以降に発症するものです。
しかし本症例のように若齢で発生するケースもあります。
この疾患も診断するにあたっては他疾患の除外が重要になります。
なんとかしてあげたいという飼い主様の想いによって、特殊検査(ホルモン測定)の実施まで行うことができました。